TDプロセスとは
近年の表面方法としてPVD・CVD・イオン窒化など、海外からの技術導入にて実用化した技術に対して、TDプロセス(Toyota Diffusion Coating Process)は株式会社豊田中央研究所において開発された、国産技術である。TDプロセスは、炭化物・硼化物、固溶体及び化合物相などを形成させる広範囲の技術であり、その適応範囲も広い。その中でもVC(バナジウムカーバイト)の炭化物は種々の特性が優れているため最も利用されており、TDプロセスの代表的な存在である。
TDプロセスの方法と炭化物層の形成原理
TDプロセスは、図1に示したような炉中に850℃~1050℃の溶融塩中に浸漬することにより、処理品表面に炭化物層を形成でき、処理後に冷却することを利用して、母材に焼入れすることも可能である。
炭化物層の形成原理は塩浴中に含まれる炭化物形成元素と処理品母材中の炭素原子が結合してその表面に炭化物層が成形され、さらに母材中よりすでに成形された炭化物層中を通過してきた炭素原子が結合することにより層の形成が行われる。(図2参照)このさい炭化物生成元素は、被服母材側に拡散浸入し炭化物層と母材との密着強度を高めています。
また形成された炭化物層は処理温度が高いほど、処理時間が長いほど炭化物層は厚くなります。層が厚くなればなるほど、母材に含まれる炭素量が少なくなりますが、層の生成に必要な炭素は母材中の炭素量に総量に対してごく微量しか必要とされない為、母材にはほとんど影響しません。
TDプロセスで形成された炭化物層の元素は、層中は100%炭化物から形成され母材中のCr・Moなどの合金元素はごくわずかである。また、ピンポールなどがなく、母材の表面粗度は処理前の母材の面粗度とほぼ同じである。(図3参照)
TDプロセスの作業工程
標準作業工程の内容は図4の通りで、処理材料により多少工程は異になることがあります。